イカ漁師に密着取材するシリーズ
その③【釣り上げ編】!
前回からの続きです。
わたくしイカ所長が、本物の漁師さんの、本物の漁船に乗り込むことに!
そんな、イカ釣り漁に同行したある1日の記録を、ここに書き記します。
【 福岡・宗像 鐘崎のイカ漁師に密着! 釣れた釣れた釣れたっ!
前回からの続きです。
それぞれ100メートル程の間隔をあけて、仕掛けは全て、海に投入されました。
今度は最初に投入した場所に戻って、そこから順次、仕掛けを回収していきます。
ビーチボールみたいな浮きをひっかき棒で手繰り寄せ、そして巻き上げ機に糸を引っ掛けて自動で巻取ります。
ある程度巻き取ったら、そこから先は手動巻取りにスイッチして、やさしく糸を手繰っていきます。
巻いて巻いて…
ホラ来たあッ!ヤリイカ様だあッ!
めっちゃテンションがあがります。
糸には5本程のスッテ(疑似餌)を仕込んであるので、多ければ最大でイカ5杯ついてくるワケですが、そうは甘くない。それでも大体3杯くらいは、あがってきます。
あがってきたイカは、手で掴んでスッテから外すのかと思いきや、そうではなかった。
イカのくっついたスッテの針の根本を持って、そのままヒョイと放り投げると、ヤリイカは船内の生簀にポチャンと着水。また何事も無かったかのように(多少怒ってる風の顔はしていましたが)、生簀の中を泳ぎ始めます。
【 福岡・宗像 鐘崎のイカ漁師に密着! 流れるような匠の技 】
イヤー、びっくりです。釣り上げてから本当に、あっという間。
釣り上げられて海面から顔を出し、そこから生簀にインするまで、せいぜい5秒程度とか、そんなレベルですよ。
秒速です。熟練の職人技です。
ヤリイカってのは、本当に繊細な生き物だそうで。
特に熱には弱く、海水温度の上昇だけで死ぬとか、手で触っただけで体温で焼けて死ぬとか、そんな感じです。 そんなデリケートで神経質なヤツラを活かしたまま港に持ち帰ること自体大変だし、そのあとの流通過程でまた死んじゃわないように、出来るだけ弱らせないように元気な状態でいてもらわなくちゃいけない。この辺も、漁師さんの技量によるところが大きいようです。
【 福岡・宗像 鐘崎のイカ漁師に密着! 仕掛けて釣り上げる、を延々と繰り返す! 】
さて、この仕掛を引き上げてイカを釣り上げた後は、また先程と同様にイカを釣るべく、そのままその仕掛けを海に戻します。これを果てしなく、延々と繰り返していきます。
…薄暗かった空は徐々に明るい紫色に…。
…次はさわやかな薄い水色の朝の空に…。
…さらにお日様は高くのぼって眩しい光を雲の間から放ち…。
お日様はせっせと動いて時は進み、そして漁師さんは変わらずに浮きを手繰り寄せ、糸を巻き上げ続けます。
まるで永遠のような時間…。
先程のリバースから回復して元気になってきたわたくしイカ所長、ガキンチョのように船のあちこちに移動して物珍しくあれこれ見たり触ったりして調子に乗っていると、またもよおしてきて船のへりから頭を海に投げ出すことになります。胃の中には吐き出すものも、もう何も残っていない。。。
そしてもうすぐお昼という時にようやく、今日はここまで、の合図。
仕掛けも全て海から引き上げ、愛しの鐘崎漁港に向けて一直線に帰ります。
【 福岡・宗像 鐘崎のイカ漁師に密着! やっぱり漁師さんは凄いよ!
港では卸業者さんが活魚車を用意して待っていました。陸路での輸送にバトンタッチする準備、ってワケですね。
このバトンタッチの際もやはり、イカに直接手で触れることは一切ありません。
カゴで優しくすくいあげ、すばやくハカリで重量を測られたあとは車載の生簀にスムースにイン。その短い移動時間にブーブーと変な音を発してわめくヤリイカさん達がカワイイ。よし、乗り換え完了。あなた達を待ってるお客さんのもとに、行ってらっしゃい!
…フワーッ!長い一日だったあ!
漁師さんの強靭なフィジカルに、まずは驚きです。
そして品質に対して真摯に向き合い、こだわる姿は感動的ですらありました。
「ヤリイカの活き造り」のあの素晴らしい美味しさは、これらの関わる生産者さんや卸業者さん達の非常にレベルの高い連携プレーによって、形作られているワケですね。その現場に触れることで、身に染みて理解が出来ました。
美味しいヤリイカを、本当にありがとう!
これからも私はまた、イカの活き造りを愛し続けることを誓います。
最後まで読んでくださってありがとうございますくコ:彡