ノンノン!
せっかく博多や呼子でヤリイカ活き造りを食べるなら、やっぱり美味しいお店で食べて、感動で満足して帰って欲しいものです。
ヤリイカ活き造りが私たちのもとに美味しく届けられるためには、いくつかのクリアしなくてはならない、厳しい条件がある。
それを理解したうえでお店選びをして、感動のイカ体験を胸に焼き付けて頂きたく思います。
【同じイカを提供するのだから、どこも同じようなもの、なんて思っていませんか…?
いえいえいえ。
ほどほどのイカ人生でいい、と思うならば、その認識のままで結構!
しかし、充実した最高のイカ人生を送りたいのであれば、今日から認識を改めて頂きます。
断言します。同じ博多でも、同じ呼子でも。
イカの活き造りのクオリティは、その取り扱われ方によって大きく上下します。
ではイカの活き造りのクオリティに影響する具体的な要素について、解説してまいります。
”美味しいヤリイカ活き造り”とは?…美味しさの条件
ではまず何をもってクオリティが高いと言えるのか、その定義を、まずははっきりさせましょう。
主に以下のような要素が、イカの活き造りの美味しさを決定づけると、私イカ所長は考えます。
- 味がめちゃくちゃおいしい
- 歯応えがコリッコリ
- 見た目が透明でビックリ、足ピクピク
- 後造りがウマい
…どうでしょうか。概ね、反対意見はないのでは?
特に1の味に関しては、やっぱり一番大事な要素となります。
ヤリイカのその上品な味わいは、
でしゃばり過ぎずに、ほろりと儚く甘い。
手のひらに落ちてすぐとける雪のように、
春の桜・秋の紅葉のように。
日本古来の美学・哲学を写したような美食の境地なのです。
ただし!
この奇跡のような繊細な美味しさを引き出すためには、
関わる方達の並々ならぬ苦労が積み重ねられているのです。
【仕入れの優位性】漁師さん・卸業者と信頼関係を築き、常に品質の良いイカが入ってくる状態をキープする
ヤリイカ(ケンサキイカの地方名のことですね)は鮮度が命です。
市場を通していては時間の経過とともに価値が下がる。
それゆえ博多や宗像・呼子といった玄界灘の活きたイカに関しては、漁師さんが市場を通さずに直接、契約の卸業者や飲食店に販売をするという仕組みが一般的です。
そうなってくると、誰が誰に売るか、誰から買うか、そういった関係作りがとても大事になってくるわけです。
このような世界では、高圧的な態度の人や、強く値切る人が強者になれるわけではありません。
常に向上を目指す真摯な姿勢を持つ人のもとに、良いイカが入ってくるのです。
品質に妥協しない厳しさを持つお店は、お客様に高い満足を与えられます。満足度を落とすことなく常に高い水準で維持していければ、その店の評判はどんどん上がり、その好影響は周りのエリアにも幅広く及んでいき、評判も生活の安定度さえも、引っ張り上げていきます。
そんな真摯な姿勢のお店は、真摯に漁業に向き合っている真摯な漁師さんと、取引をします。
適正な競争の中に身を置き、絶えず向上を目指す者同士が、結びつくのです。
以前、イカ釣り漁船に載リ込ませてもらったことがありますが、そこでもやはり隣の船はライバルであり、隣の港もまたライバルなのだ、という過酷な競争世界であることを身に沁みて感じました。漁師さんはそんな競争の中に自ら身を置くことを理解し、絶えることなく成長し続けている。
漁師さん・仲買さん・板前さん、高い意識を持って常に向上を目指し共栄できる関係が作られた場所に、良いイカは集まります。
人とはじめて会う時に、誠実そうな人だな、とか、身なりの細かいところがだらしなくて向上心なさそうな人だな…なんて、感じますよね。
まずは真面目そう・真摯そうな印象を感じることが出来るお店を選ぶことを、オススメします。
【環境づくり】海の中に近い環境を作る。温度管理は絶対必須!
イカは温度変化に超・敏感。
特に、好みの水温についてはずいぶんウルサイのがイカです。高すぎず、低すぎず、適温を保つ。
また、水槽の海水は当然、キレイな状況に保たれていなくてはいけない。
海水を循環するシステムを持つお店や、濾過装置で水質を管理しているお店もあります。
いずれにしても、目指すは飲食店の中に、海と同じ環境を作ること。
ちなみにこれが出来ていないと、イカが死にます。
あるいは出来ていたとしても不十分だったら、やはりイカの元気さに悪影響を与えます。
色が白っぽいとか甘さが足りない、という結果に繋がります。
【旨み・甘み維持】洗いすぎちゃダメ、甘みが溶け出しちゃう!
板前さんの間では、イカの捌き方について様々な説・やり方があるようです。
その中でも割とメジャーなのが、「真水で洗わないようにする」というもの。
身が白っぽくなったり、甘みが感じられにくくなったりする、そうです。
またイカの甘み・旨みの成分が水溶性のため、水にビチャビチャ当たってると美味しさが逃げる、とも。
【透明度維持】触りすぎない!早く早く!身が白くならぬ間に!
お次は”イカを触るな!”ということ。
そんな無茶な、、、と思う方もいるかもしれませんが、
本当に、最小限しか手で触れないんです。
もっと遡ると、まず漁師さんからして、基本、イカに手で触れない。
針からイカを外す時さえも、原則、触れない。
卸業者が飲食店にイカを持ってきて水槽に入れる際も、手は使わない。
ザルなんかでイカに触れず器用に金魚すくいみたいにやるんです。
なぜそんなにかたくなに触らないで頑張ってるのかというと、イカにとって人間の体温なんかはアツすぎるから、というわけです。
人間の手の体温だけでヤケドして、なんなら死んじゃうこともある、といいます。
そうでなくても、板さんが捌く際に手指が触れることで身が白くなっちゃうのは自明の理。
できるだけ手指が接する面積を小さくしたり、手を水で冷やしたり、極限まで捌くスピードを早くしたり、と、イカの透明度に対して並々ならぬ努力をされています。
【食感を引き出す】手際よく、美しく包丁を入れよ!食感も大事な美味しさのファクター!
イカの美味しさはアミノ酸云々というような化学的な要因だけでなく、その歯応えも要因として大きく関わっていると思われます。あと、もちろん見た目も。
ヤリイカの活き造りの身に施された、職人技による美しい包丁の切れ目によるテキスチャーが、歯応え・舌触りの違いとなって、味わいを大きく左右します。
飾り包丁を入れる/入れない、身のカット幅を広く/狭く、等。
その切り方の技術や特性により、醤油ののり方も変わってくる。
…職人さんの包丁技も、大いに美味しさを左右する要素となるのです。
【美味しいイカに出会うコツ】 まとめ:イカの活き造りに懸ける、お店の姿勢の違いをも楽しんで。
以上、イカの活き造りはどの店で食べても同じ味?!、と題してお届けしてまいりました。
美味しいイカの活き造りに出会うためのコツをまとめると、こんな感じでしょうか。
- お店の事前情報や外観から、真摯なフィーリングと向上心の強さが感じられて、
- 水槽に泳ぐイカが気持ちよさそうで、
- イカを料理人さんにイカを美味しく食べるための哲学が浸透してることが伝わる
今の時代、口コミサイトやSNSを情報源にすることが多いと思います。
もちろんそれらの情報も有用ですが、お店のHPなどに書いてあるコダワリ情報なども合わせて目を通してみると、より立体的にイメージ出来るかもです。
また、実際行ってみたお店の前にゴミが散らかってたり外観が薄ら汚れていたりすると、目的のお店を即変更する柔軟性も大切!
あなたのイカライフが、さらに充実したものになることを、祈っております。
では、今日はここまで。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございましたくコ:彡